B.T.T.B. Back to the basic そして、透明な世界へ

資本論の価値論に関する論説 等

なぜ、資本論では、リンネルと上着が主役なのか?

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 こんばんは。この前に書いたブログ記事の通り、本日午前中に改修申請を行いまして、これで、『透明な世界へ』は、私の手から離れました。ただ、もし、新たなミスなどに関しては、見つけ次第、このブログで公表します。読者の方、ミス等をご発見されましたら、私の方へコメント欄を使用してお伝えくださいませ。すぐに確認して、このブログで公表します。販売中になっていますが、それはまだ古いデータのものだと思います。今しばらくお待ちを。


 ご迷惑をかけないように注意を払ったつもりでしたが、資本論の初版と現行版の詳細な相違を示すだけではなく、第1部と第2部の完全対応を図るという、無謀なことに挑戦した結果、やはりミスを生み出してしまいました。申し訳ありません。かつての予備校の教務が「やっぱり!」と叫んでいるような気持ちがします。真摯に受け止めたいと思います。


 ところで、第2弾は、ドイツ語原文と日本文を左右対称にし、なおかつ、ドイツ語原文の下に単語の意味を、日本文の下に文構造把握のポイントを書いたものです。『透明な世界へ』の校正をしながら、合間をみて、書いていくと、この一ヶ月で50段落程度まで進んでいました。まあ、これはもちろん、『透明な世界へ』で翻訳をしている時に、すでに単語はエクセルに(本当は、MacのNumbersというソフトに)登録していたので、ここまで早く進んでいるんです。もちろん、この第2弾を発刊することを念頭に置いていたのです。


 私は予備校講師時代から、英文の内容把握は、正確な構造把握が前提である、ということを一貫して授業を行なっていましたので、今回の翻訳においても、自身で全ての文の構造把握をした上で、訳出をしていました。それはノートに書いていきましたので、それを見ながら、構造に関する記事を書いているわけです。全て計算づくであった、というわけです。


 さて、今回の記事のタイトル「なぜ、リンネルと上着が主役なのか?」という、我々が生きていく上では、全くどうでも良いことを取り上げるのは、マルクスが価値形態論で扱っている等式で、リンネルと上着を取り扱うことから始めているのはなぜなのか、という疑問が、大学生の頃から、ずーーーーーーーーーーーーーーと念頭にある、ということなのです。『透明な世界へ』では、一応、布と衣服という関係のあるものの方が、労働量などを説明する際に、それなりにわかりやすいからだろうと書きましたし、それはその通りだとも思っています。


 が、今回、改めてドイツ語を読んでいて、上記の通り、関係性があるモノでなくてはならないということは前提として、もう一つ、その理由が思い浮かびました。それは、それぞれの性が異なる、ということです。Leinwand「リンネル」は女性名詞であり、sie - (ihrer) - ihr - sieと、1格から4格へ変化する一方で、Rock「上着」は男性名詞であり、er - (seiner) - ihm - ihnと変化します。したがって、例えば、以下のような文の場合に、区別がつくわけです。


Andreseits bezieht sich die Leinwand auf ihn, nicht um ihn zu etwas zu machen, sondern weil er ohne sie etwas ist.

他方において、リンネルが上着に関係するのは、上着を何物かにしようとするためではなく、リンネルがなくても上着は何物かであるからである。」


が、ihnは男性名詞の4格ですから、上着であり、ohne sieのsieは女性名詞の4格ですから、リンネルであるとわかるのです。これが同じ性だったら、大変ですよね。価値形態はおそらく理解不能になったか、代名詞を使えなくなって、やたらしつこい文章になっていたでしょう。たぶん、マルクスはこういうことを考えて、この2つを主役に据えて価値形態を説明していったのでしょうね。これは改めて、ドイツ語のみに集中して本を書いていて認識したことでした。でも、マルクスも、初版で一箇所だけですけど、この両者を取り違えて代名詞を入れ替えてしまっているんですね。文脈からミスだとすぐにわかるのですけど。江夏さんの初版訳では、そのミスをそのまま訳してしまっていて、それは江夏さんの誠実さがわかります。つまり、江夏さんは完全に自分一人で、他の人の訳に頼ることなく翻訳をしていったということを示しているのです(その後、正誤表で訂正されています)。


それは良いのですが、初級のドイツ語を習っていると、Rockは「スカート」という意味で覚えるのが普通なんですよね。単語集でも大抵「スカート」と意味が記されています。古語では「上着」と辞書にあるので、間違いではないのですけど、本当に「上着」で良いのかなあと、ちょっと考えたりしています。今まで誰も「スカート」と訳していないのですけど。

もちろん、モノによりますが、上着はリンネル織りの2倍の労働量を含んで、つまり時間を2倍かけて作成できるのかなあ、もっと時間がかかるんじゃないだろうか、とも思っているのです。スカートも、モノによりますが、上着よりは時間がかからず、簡易なものならちょうど良い時間でできるのではないだろうか、と。

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