AI時代の語学関係者のあり様とは 第1回
*タイトルにあった「語学講師」を「語学関係者」に変更しました。
前からお知らせしている通り、資本論の初版本文・付録・現行版の価値論の部分の、独和対比版の本を執筆しています。『透明な世界へ』の執筆時に自分で作っていた文構造分析のノートと、整理した単語一覧を元に作成しています。
この本のウリは、
1 資本論の価値論に登場する、ほぼ全ての単語とその意味、名詞の場合はその性も、掲載していること
2 ごく簡単な、短い独文以外は全ての独文の構造を解説していること
3 独文と翻訳話分を左右に対置しているため、その長さが異なる場合が多く、そのスペースに理解のために必要な内容の解説をしていること
の3点です。
牧野紀之さんの対比版がありますが、それは初版本文と付録のみで、構造分析の解説はありませんし、単語の意味の掲載もありません。ただ、注が多く、ヘーゲルとの関連などの内容の説明もあります。ただ、全てを網羅しているわけではありません。他のマルクスの著作では、かつて『共産(党)宣言』が対比版であり、単語の記載も下部にありましたが、説明は全くありませんでした。ですから、今回の私の本は、これまた日本で初なのです。
ところで、最近聞くところによると、AIというのが、人間の仕事を奪ってきている、というではありませんか。私はAmazonで自分の紹介についてAIについて聞いてみて感じたことをこのブログで書きましたが、今回、使ってみることにしました。ChatDPTの無料版です。
以下は、資本論の現行版の一部に関する質問です。
「Derselbe Wechsel der Produktivkraft, der die Fruchtbarkeit der Arbeit und daher die Masse der von ihr gelieferten Gebrauchswerte vermehrt, vermindert also die Wertgröße dieser vermehrten Gesamtmasse, wenn er die Summe der zu ihrer Produktion notwendigen Arbeitszeit abkürzt. の文の構造を教えてください」
と、質問しました。こんな大雑把な質問の仕方でいいのかなと思ったのですが、相手は考えること数十秒、以下のように返事をしてきました。以下がAIの応えです。長いのでAIの応えだけしか今回は掲載できず、それに対して私が思うところは、第2回に回します。
ChatGPTによる応え:
これはかなり長い文ですが、骨格ははっきりしています。
全体の骨格
Derselbe Wechsel der Produktivkraft ... vermindert also die Wertgröße dieser vermehrten Gesamtmasse ..., wenn ...
Derselbe Wechsel der Produktivkraft =主語
vermindert =動詞
die Wertgröße dieser vermehrten Gesamtmasse =目的語
つまり主節は
「生産力のその同じ変化は、したがって、この増大した総量の価値量を減少させる」
です。
その主語 Derselbe Wechsel der Produktivkraft に関係代名詞節がかかり、さらに文末に wenn節 が付いています。
主語部分
Derselbe Wechsel der Produktivkraft
derselbe = 同じ
Wechsel = 変化
der Produktivkraft = 生産力の
→
「生産力のその同じ変化」
関係代名詞節
der die Fruchtbarkeit der Arbeit und daher die Masse der von ihr gelieferten Gebrauchswerte vermehrt
この der は Wechsel を受けています。
つまり
der = welcher Wechsel
です。
構造は
der (= Wechsel)
vermehrt
die Fruchtbarkeit der Arbeit
und daher die Masse der Gebrauchswerte
die Fruchtbarkeit der Arbeit
Fruchtbarkeit = 生産性・豊饒性
der Arbeit = 労働の
→
「労働の生産性」
die Masse der von ihr gelieferten Gebrauchswerte
まず
die Masse der Gebrauchswerte
= 使用価値の量
ここに
von ihr gelieferten
がかかります。
von ihr gelieferten Gebrauchswerte
geliefert = 供給された
von ihr = それによって
この ihr は Arbeit(労働)を指します。
つまり
die von der Arbeit gelieferten Gebrauchswerte
= 労働によって生み出される使用価値
したがって関係節全体は
「労働の生産性を、したがって労働によって供給される使用価値の量を増大させるその同じ生産力の変化」
となります。
主節
vermindert also die Wertgröße dieser vermehrten Gesamtmasse
vermindert = 減少させる
also = したがって
die Wertgröße = 価値量
dieser vermehrten Gesamtmasse = この増大した総量の
→
「したがって、この増大した総量の価値量を減少させる」
wenn節
wenn er die Summe der zu ihrer Produktion notwendigen Arbeitszeit abkürzt
ここで
er = Wechsel der Produktivkraft
を指します。
die Summe der Arbeitszeit
Summe = 総量
Arbeitszeit = 労働時間
→
「労働時間の総量」
der zu ihrer Produktion notwendigen Arbeitszeit
これは Arbeitszeit を限定。
notwendig = 必要な
zu ihrer Produktion = その生産のための
ここで ihrer は前の
dieser vermehrten Gesamtmasse
(増大した総量)
を指します。
つまり
der zu ihrer Produktion notwendigen Arbeitszeit
= 「その総量を生産するのに必要な労働時間」
abkürzt
abkürzen = 短縮する
したがって wenn節は
「その総量の生産に必要な労働時間の総計を短縮するならば」
です。
構造図
[Derselbe Wechsel der Produktivkraft]
└─ [der
die Fruchtbarkeit der Arbeit
und daher
die Masse der von ihr gelieferten Gebrauchswerte
vermehrt]
vermindert also
[die Wertgröße dieser vermehrten Gesamtmasse]
[wenn
er
die Summe
der zu ihrer Produktion notwendigen Arbeitszeit
abkürzt]全体の意味
直訳すると、
労働の生産性、したがって労働によって供給される使用価値の量を増大させるその同じ生産力の変化は、その増大した総量を生産するのに必要な労働時間の総計を短縮するならば、したがってその増大した総量の価値量を減少させる。
自然な日本語なら、
労働の生産力の向上は、使用価値の総量を増やすが、その総量の生産に必要な労働時間を短縮するかぎり、その総量の価値を低下させる。
ということです。マルクスがここで言いたいのは、
生産力↑ → 生産物の数量↑
しかし必要労働時間↓
したがって個々の商品の価値↓
場合によっては総価値量も↓
という関係です。”